ストーキング25

 

 

 「ねぇ、アジトの外に出てもいい?」

 

 「ん? ルルーペはカード保管係だろ。

  出歩かないほうがいいぞ。

 

 「・・・ちょっとだけ!」

 

 「しょうがないな・・・。

  まぁ、こんなことは言わないでもわかってるだろうけど、

  お前が今持ってるカードの種類はこちらで記録してある。

  変な気は起こさないことだ。

  なぜなら、このゲームは『逃げる』ことが1番難しいからな。

 

 「そんなことわかってるよ。

  組織を敵にまわす気なんてないっす。

  じゃ、ぶらぶらしてきます。」

 

 「ああ、それと、

  今ルルーペが持ってるカードは自分で守れよ。

  奪われたり使用したりすれば、クリア報酬を分配する際に影響が出るからな。

  逆に貴重なカードを手に入れれば、報酬が増えるわけだけどな。

 

 「はーい。

  じゃ。」

 

 

 俺はアジトから外に出た。

 

 カード保管係だからって、ずっとアジトでごろごろしてるのはゴメンだ。

 もっとこの世界を見て回らないとな。

 

 それに俺は決めたんだ。

 クリアしてアイテムをゲットする。

 1から集めるなんて面倒くさい真似はしない。

 ・・・。

 奪ってやる。

 あの組織から。

 クリア直前で・・・。

 そのために今必要なのは情報収集と計画を練ること。

 あの人が言ったようにこのゲームでは『逃げる』ことが難しい。

 追うための魔法があるから。

 ・・・「奪う方法」「逃げる方法」

 この2つの同時成立がカード奪取の最低必要条件。

 

 ・・・難しいな。

 

 でも考える時間はまだまだある。

 この世界を歩きつつ考えよう。

 

 

 俺が預かってるカードは魔法カードのみ。

 ・・・1番レアな魔法カードでCランクか。。。

 ま、当然だな。

 新入りだし。

 

 

 よし! 魔法唱えてみよう!

 とりあえず漂流(ドリフト)でどこかの町に飛ぼう。

 Fランクだから使っても大丈夫だろ。

 それに「同行」(アカンパニー)があるから、いつでも戻れるし。

 

 よーっし! 行くぜ!

 

 「漂流(ドリフト) オン!!」

 

 バシュ!

 

 キィィィィイィィィィィン。

 うおおお!

 

 

 

  

 

 ずざーーーーーー(;´Д`)

 

 着地失敗。。。

 

 でも快感。

 魔法イイ!(゚∀゚)

 

 

 

 

 で・・・。

 

 ここ、どこ?

 

 

 城?

 

 

 ハート?

 

 

 

 アイーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 アイーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 アイーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 アイーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

 next  ストーキング26「魅惑の恋愛都市アイアイ」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング26

 

 

 なんて、なんて楽しい町なんだ。

 

 

 美女がごろごろいるのだ。

 そして出会いのシチュエーションがいたるところで待ってるのだ。

 美男子もごろごろいるのだ。

 でもこの町の女はそのイケメン達に無関心なのだ。

 

 

 まさに楽園だ。。。

 

 

 ここで美女をゲットして、イチャイチャしまくってやる!

 

 

 

 俺はある女の人に一目ぼれした。

 毎晩、町のバーに現れる女。

 悲しい目。

 名前はミスト。

 

 幸薄い感じが、もろ好みだ(*´∀`*)

 

 さりげなく彼女に話しかけた。あくまで客の一人として。

 自分の悩みを彼女に打明けたら、彼女も心を開いてくれた。

 将来を誓い合った彼氏が町を出て行ったらしい。

 置手紙には「あとを追ってこないでほしい」と書いてあったそうだ。

 

 ふーん。なるほどー。

 

 

 それから3日間、色んなことを話した。

 彼女は笑顔を見せるようになった。

 

 かわいい(*´ー`*)

 

 

 そして4日目の夜、

 

 酒場の外の路地で・・・

 目をつむるミスト。。。

 

 ゲ、

 ゲ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ット!!(´Д`)

 

 キ、キ、キキキ、キ

 キッス、いただきーーーーーーーーーー!!!

 

 

 

 んーーーーーーーーーーーーーーー(´ε `)ーーーーーーーーーーーー・・・

 

 

 

 ボン!

 

 

 ん?

 

 ボン?

 

 

 

 目を開けたらミストがいない。

 

 

 足元にカードが落ちていた。

 

 206 「琥珀の髪飾り」 D-80 

 

 あ・・・ミストが髪につけていたものだ。。。

 

 

 

 ・・・。

 

 

 そういうことか。。。

 

 

 これが、この町のカードゲットのルールなんだ。

 

 

 対象異性が心を許した瞬間、その人はカード化する。

 変化するアイテムはその人が愛用しているもの。

 

 「ゲイン!!」

 

 ボン!

 

 

 は、

 ははは、髪飾りだ。

 

 

 はは、は、

 

 

 

 ・・・。

  

 

 

 ドちくしょーーーーーーー!!(;TДT)

 

 

 

 俺はカードなんかいらないの!!

 

 女の子とイチャイチャしたいの!!!

 

 

 

 

 

 

 ち、ちくしょ〜〜〜〜〜〜〜。。。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・ちょっと待てよ。

 

 

 

 いいこと思いついた。

 

 

 

 next  ストーキング27「ハーレムの夢」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング27

 

 

 城の王妃の間のベランダ。

 

 コーヒーを飲みながら街を見渡す。

 

 「ねぇ、ルルーペ。 今度はいつ会えますか?」

 

 「・・・あなたは王族、私は流れ者。

  所詮結ばれることを許されぬ運命。

  誰も私達を許しはしない。

  ・・・神さえも。

 

  でも、また来ます!

  必ず!」

 

 ベランダから壁をつたって城から脱け出す。

 

 「何時もあなたを想い、待ち続けます!

  ベランダの窓はいつも開けておきますからー!」

 

 

 

 

 

 

 街を歩く。

 

 女達が集まってくる。

 

 「ルルーペ、今夜食事でもどう?」

 「あ!あんた、昨日のデートすっぽかしたでしょ!」

 「ルルーペ、困ったことがあるの。話し聞いてくれる。」

 「ルルーペ、あしたデートだからな! 忘れるなよ!」

 「どうでした?この前のプレゼント。」

 

 まぁまぁ(´ー`)

 順番順番。少し待ってなさい。

 

 

 ふふふ。

 

 

 ふふふふふ。

 

 

 これだ!

 

 ルルーペ式ハーレム術

 落とす一歩手前のいい感じの状態で親密度をストップさせる。

 最初はその見極めが難しかった。

 一度カードにしてしまった女の子も何人もいる。

 ゲームキャラの行動は親密度のレベルにより予め設定されている。

 だから、親密度をカード化のギリギリ手前でストップさせ、キャラの行動をループさせる。

 それを複数のキャラと同時に行うのだ。

 

 食事は朝昼晩別の女の子の家で食べる。

 午前も午後も夜もデート。

 もらうプレゼントは日々5個以上。

 

 

 

 天国だー(´ー`)

 

 別にナニができなくてもいいや。

 

 今までの人生で最高の時間を送ってる!

 

 

 恋愛都市アイアイ万歳!!(´Д`)/

 

 

 

 「お! いたぞ! ルルーペだ!」

 

 ん?

 何だ? 男じゃん。

 

 「さぁ、戻るぞ! ルルーペ!!」

 

 「あ! 組織の!」

 

 「そうだ! 

  何日も帰ってこないと思ったら、こんなとこでぶらぶらしてたのか。」

 

 「い、い、い、

 

  イヤだ! 俺は帰らない!!

  ずっとここで暮らすの!!

 

 「グリードアイランドではな、

  お前のような奴を『アイアイ症候群』って呼んでんだよ!!

  いい加減目を覚ませ!」

 

 「イヤだ! 帰らない! 

  帰らないーーーーーー!!!(;´Д`)

 

 「今日、組織の重要な会合が行われるんだ!

  こうなったら強制的につれて帰るからな!!

 

  同行(アカンパニー) オン! コズフトロ!!」

 

 「イ、イヤ〜〜〜〜〜〜〜!!(;´Д`)

 

 バシュ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 くそ。

 絶対脱け出してやる。こんな組織。

 俺のハーレムをぶち壊しやがって。

 絶対、カード奪って逃げ出してやる。

 

 

 

 

 

 

 アジトに戻るとすごい人数が集まっていた。

 

 初めて見る人も何人もいる。

 

 

 「さて、諸君!

 

 リーダーが喋りだした。

 

 話の内容・・・

 現時点で組織が手にしている指定ポケットカードは90種133枚とのこと。

 

 ヤバイな。

 そろそろ計画考えないとな。

 

 あとは・・・

 へー、ツェズゲラチームがほぼ同数か。。。

 

 

 

 「諸君!! 我々の勝利は目前だ!!

 

 おおおおお!!!

 盛り上がる組織員達。

 

 

 

 へ、見てろよ。

 俺が奪ってやる。

 

 

 「1つ。オレからもいいか?

 

 ん?

 インテリ眼鏡君が喋りだしたぞ。

 

 

 

 「皆さんに言っておかねばならないことがある。

 

 

  オレは『爆弾魔』だ。

 

 

 ?

 

 

 

 next  ストーキング28「発動! 『命の音』」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

ストーキング28

 

 

 なに言ってんだ? この人。

 

 

 「君達全員の体に爆弾を仕掛けた。

 

 !?

 

 「何だと! 一体どうやって!?」

 「キサマふざけるなよ!」

 「殺すぞ! てめぇ!!」

 ざわめく組織員。

 

 と!

 

 ゲンスルーの後ろに走る影!

 

 ボム!!

 

 !!

 爆発した・・・!

 顔が吹き飛んだ・・・!!

 

 「やれやれ、説明の順序が狂ってしまったな・・・。

 

 

 「オレは手でつかんだものを爆破できる。

  つかめる大きさの限界はバスケットボールぐらいだ。

 

 「これは皆さんに仕掛けた爆弾とはまた別の能力。

  威力はさほどない・・・・・彼も一命をとりとめたようだ。

 

 「だが・・・、

  皆さんに仕掛けた爆弾が爆発すれば、確実に死ぬと言っておこう。

 

 ! 何だって!?

 

 「まず、どうやって君達全員に爆弾を仕掛けたか、それから説明しよう。

 

 

 

 「オレの能力『命の音』(カウントダウン)は、

  ターゲットの爆破させたい箇所に触れながら『あるキーワード』を言うことで取り付けることができる。

 

 「キーワードは『爆弾魔』

 

 !!

 マジで・・・?

 

 

 ・・・

 

 過去の出来事を振り返る。

 俺は・・・俺は、

 大丈夫・・・

 

 

 

 

 ・・・いや、

 

 

 

             「じゃ、頼んだぞ、ルルーペ。」

            「今のうちに仲間に色んなこと聞いておけ。」

            「最初はあまり外に出ないほうがいいぞ。」

            もにゅ。 (´Д`)

            「爆弾魔には気をつけろ。」

            「じゃ、行って来る!」

 

 

 

 

 ・・・くそ! あの時だ。

 

 

 

 「これを解除するには、オレの体に触れながら『爆弾魔 捕まえた』と言わなければならない。

 

 「ただし、先程見てもらったように、オレにはもう1つの能力『一握りの火薬』(リトルフラワー)がある。

  これを使い、オレは解除を阻止する。

 

 

 チッ チッ チッ

 

 

 ?

 

 

 ののののののわーーーーーーーーーーーーー!!(;´Д`)

 こ股間に!!!

 爆弾が!!!!

 

 

 「作動したね。

  なぜペラペラ自分の能力について話したか不思議だろう?

  

  それが発動条件だからだ。

 

 

 「そこでカードも仲間も一斉に集合する日を狙っていたわけだ。

 

 黒人の男が問い掛けた。

 彼も初めて見る人だ。

 

 「まあね。

  これ以上枚数が集まると、別の欲張り者が現れるとも限らないしな。

 

 ギク!!(;´Д`)

 

 お、お、お、遅かった。

 一歩、遅かった。

 

 「さて、ここで提案する。

  君達の命と指定ポケットカード81種を交換したい。

  そうすれば『もう1つの解除法』で皆さん全員の爆弾を一斉解除する。

 

  相談して決めてくれ。

 

  取引場所はバッテラ氏所有の古城。

  誰でもいいが一人で来ること。

 

 ニヤリと笑みを浮かべるゲンスルー。

 

 「ブック!

 「しまっ

 「『離脱』(リーブ) オン!!

  ハハハハハハハハ! それでは再会を祈る!!!

 

 ドギュ!!

 

 ゲンスルーが逃げた!!

 

 

 叫び、うろたえる組織員達。

 

 そして議論が始まった。 打開策について!

 ちくしょう。

 どうすればいいんだ。

 ん?

 爆弾に数字が?

 「心拍数だ。

  この爆弾のカウントは心拍数とリンクしている。

  ゆえに興奮して心拍数が上がればカウントも早くなる。

 

  カウントは6000からスタート。およそ1時間で0になる。

 

 マジで!?

 

 マジでマジでマジで!??

 いいいい1時間でなんとかしししししなきゃななならないの?

 じゃ、じゃーさ、もうカード渡しちまおうよ。

 それsそれしかないってー。

 なぁ、ちょっと、

 ちょっと!

 、聞いてんの!?

 何?

 ジスパーのカウントがささ3500を切ってるって?

 ほら、

 ほらほらほら、やっぱりわわ渡そうよ〜。

 

 

 ん?

 

 

 んんん!?

 

 

 な、

 な、

 な、

 何で!!? 

 

 

 何で俺の4000切ってんのーーーーー!!?(;´Д`)

 

 

 なんんなんあなんで俺、ジスパーばりに早いのーーーーーー!!

 おおちおちおち落ち着け。

 おちとちsちと落ちつつつけ。

 

 深呼吸だ!

 

 

 ヒュ〜〜〜〜〜〜〜。

 

 

 ・・・。

 

 

 ととと止まんねーよー(;TДT)

 

 

 誰かー。

 

 た、助けて−。

 

 

 

 

 ・・・そうだ。

 

 アイアイで過ごした時間を思い出すんだ。

  

 

 あの夢のような生活。

 

 

 

 

 

 よ、よし。

 

 

 

 落ち着いてきた。

 

 

 

 「みんな・・・悪いな。

 ん?

 今度はアゴでかい人が喋りだした・・・

 手にカードを持ってる。

 

 「俺は、俺なりに交渉してみる。

  スタート地点で待っててくれ!!

 

  離脱(リーブ) オン!」 

 

 バシュ!

 

 「しまった!!

 

 「あいつ、何考えてやがる!

 

 「奴が組織に入って、まだ間もないが、

  ・・・不安だな。

  良からぬ事を考えてる気がする。

 「組織を売る気か?

 

 「おい!

  みんな! 今から離脱(リーブ)を回収する!

  組織を守るためだ! 協力してくれ!

 

 カードシャッフル後、誰が何のカードを持っているかは、リストに記録されていた。

 離脱(リーブ)の持ち主は大人しく渡すしかない。

 

 「おい! ルルーペ。

  お前、遅れてきたよな。 念のためブックを見せてもらう。

 

 ほら、きた。

 

 「ん?

  あぁ、いいですよ。

  ブック。

  ・・・よいしょっと、

  ちょっと待ってくださいね。

  はい。」

 

 俺はブックを見せた。

 

 「・・・おいおい。これ、アイアイの姫が持ってるレアカードじゃないのか?

 

 「そうそう、一度ミスってカードにしちゃったんだけど、

  すごい? 金になる?」

 

 「あぁ、でもダブりだ。

  組織はすでにそのカードを手に入れているからな。

  それにまずはこの危機を乗り越えることが先決だ。

  

  よし、離脱(リーブ)は持ってないな。

 

 「俺たちは、スタート地点に向かう!

  もしかしたらあいつが上手く交渉するかもしれない。

  淡い期待だが可能性はゼロじゃない。

  ニッケス!

  あんたは俺たち以外の指定ポケットカードを集めておいてくれ。」

 

 「・・・わかった。

  気をつけろよ。

 

 

 ・・・よし。 着いていくぞ。

 『消える男』(サイレントキラー)発動。

 

 

 「同行(アカンパニー) オン! アントキバ!」

 

 バシュ!!

 

 

 

  

 next  ストーキング29「見つかるのか! 打開策!!」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング29

 

 

 スタート地点「シソの木」に到着すると間もなく、階段を誰かが下りてくる音が聞こえた。

 

 額に刺青。

 離脱(リーブ)を使った男じゃない。

 誰だ?

 

 こちらに向けてコンビニのビニール袋を投げつけてきた。

 

 

 う!!

 

 

 生首。

 口は半空き・・・目は見開き視点はあってない・・・

 単独で説得しようとした、あの男だ。

 

 

 「離脱(リーブ)!

  ゲーム外へ戻るからよこせ。

 

 「ふざけるな!

 長頭の組織員が反抗する。

 

 

 (・・・やめといたほうがいい。

  そいつ・・・物腰からしてただ者じゃない。)

  

 

 「実は俺も『爆弾魔』だ。

  ま、ゲンスルーが本体ならオレ達は備品みたいなもんだが。

 

  『爆弾魔』3人いるのさ。

 

  3人が右手親指を合わせてキーワードを言うと、ターゲットに取り付けられた爆弾は消滅する。

  

  それがもう1つの解除法だ。

 

 

 ・・・新たな情報。爆弾魔は3人。

 ・・・くそ、状況はいよいよ絶望的だ。

 

 

 結局、黒髪の爆弾魔はカードを引ったくり、再びゲーム外へ戻った。

 

 

 

 

 

 皆無言だ。

 

 なすすべがない。。。

 

 

 

 コンビニ袋の生首を埋葬もせずに、

 

 俺たちは、

 

 またアジトへ戻った。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 アジトではニッケスがカードを集め終わっていた。

 

 そして・・・

 ジスパーがいた場所に丸い穴と、放心円状の血しぶきが残っていた。

 

 

 

 シソの木から戻った組織員は、みんなに状況を説明した。

 生首、

 爆弾魔が3人いること、

 爆弾魔3人揃うと爆弾の一斉解除ができるということ、

 そして、それは指定ポケット81種との交換なしでは実現できないということ。

 

 

 

 アジトは静まり返った。

 

 

 もう条件を飲むしかない。

 

 異論を唱えるものは誰もいなかった。

 

 

 

 

 俺はアジトの出口へ向かった。

 

 「どこへいく? ルルーペ。

 

 「・・・気分転換にそのあたりをぶらぶらしてくる。」

 

 「あまり無駄な運動はするなよ。カウントが早まるだけだ。

 

 「俺も付き合おう。

 

 ん? あ、黒人の人。

 ・・・うっとうしいな。

 一人になりたいのに。

 

 

 アジトを脱け出し、森を歩く。

 

 「君も気づいたんだろう?

 

 「? 一斉解除のこと?」

 

 「ああ。

  恐らくだが、

  あれは一斉解除ではなく一斉爆破だ。

  そのことに君も気付いている。

 

 「・・・このゲームで一番難しいのは『逃げる』こと。

  ゲンスルーは『奪う』ことに成功した。

  でも奪ったカードを守り続けるには『逃げる』方法を考えなければならない。

  この組織は約60名。

  60人の追っ手から逃げることは容易じゃない。」

 

 「呪文があるから、だろ。

  戦闘能力に関係なく、20mの距離まで詰め寄ることができ、

  カードを奪う呪文もあるうえ、移動スペルでまた逃げることもできる。

 

 「そう、だからゲンスルーは『逃げる』方法も考えているはずなんだ。

  『奪う』と『逃げる』の同時成立が強奪プランの必要最低条件。」

 

 「その逃げる方法が一斉爆破ってわけだ。

  確かに・・・全員に爆弾が仕掛けられる、こんな機会は二度と無いだろう。

 

 (・・・一斉爆破とわかってて、、、なんだ? こいつの余裕は・・・。)

 

 「3人揃って右手親指を合わせて『キーワード』を言わなければならない。

  だいたい、攻撃解除にこんな制約はいらないはずだからね。」

 

 「で、なんでそこまでわかっていて組織の人間に話さなかった。

 

 

 「・・・それは、あんただって同じだろ。」

 

 

 「あの場でそれを言うと、バカな組織員達がパニックを起こす。

  恐らく、カードを持つニッケス達と戦闘になる。

  そうなるくらいなら、

  黙ってて爆弾解除の可能性は少しでも大きいほうがいい。か。

 

 

 「ところで、

  爆弾解除の方法、なんかあるの?」

 

 「・・・。

  いや、今は知っているプレイヤー達にゲンスルーの情報を話して回ろうと思う。

  その間でいい案が浮かべばいいが・・・。

  思いつかないときは、一人で死ぬさ。

 

 (・・・嘘くせー。

  なんか知ってんじゃないの?)

 

 「では、そろそろ行く。

 

 「ちょ、ちょっと待って!

  移動スペル持ってない?

  1枚でもいいからくれない?」

 

 「移動スペルは現段階で最大の武器だからな。

  やるわけにはいかない。

  が、、、

  そうだな、これならやろう。

 

 

 ・・・「衝突」(コリジョン)

 

 

 

 

 

 いらねー。

 

 

 

 「お互い、生き残ることができたらまた会えるかもな。

 

  互いの未来に幸運を。 さらばだ!

 

  『磁力』(マグネティックフォース) オン! ゴン!

 

 バシュ!

 

 

 

 あいつの余裕はなんだ?

 食いついてでも聞き出すべきだったか・・・。

 

 

 

 さぁ、一人になったことだし。。。

 

 考えないとな。

 

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 

 

 

 くそーーー、

 どうすりゃいいんだーーーーーーーーーーー(;´Д`)

 

 俺の今の切札は・・・

 

 1、念能力 消える男(サイレントキラー)

 2、念能力 道化の切札(ゴールデンパス)

 3、呪文カード 「離脱」(リーブ)

 

 くらいか。

 

 

 

 実は「離脱」(リーブ)のカードは最初から持っていた。

 

 アイアイのバーでべろべろに酔っていたプレイヤーからいただいた。

 組織のやつらにバインダーを調べられたとき、俺は離脱(リーブ)だけバインダーから抜き取っていた。

 そして調べ終わったあとにカードを戻した。

 その間、1分弱。

 自動発動までギリギリだった。

 

 

 

 でもなぁ。

 

 離脱(リーブ)を使ったとしても、古城に戻った瞬間、ゲンスルーたちに殺されるし。

 

 やっぱり、よく練られた計画だよ。

 

 古城のゲームの間を取引場所に選んだのは、プレイヤーの接近に気付くことができるため。

 ゲーム機の前で待っていれば、誰が出てきたかすぐにわかる。

 それは「消える男」(サイレントキラー)を使っていても同じこと。ゲームから出た瞬間に気づかれる。

 この時点で「離脱」(リーブ)の使用ができなくなった。

 

 あと、もうひとつの作戦は・・・

 ニッケスがゲーム外で指輪をわたせば、必ず確認のためゲーム内に爆弾魔達はやってくる。

 そのときを狙う!

 「消える男」(サイレントキラー)発動状態で潜伏。

 一斉解除の際に背後に忍び寄り、「爆弾魔つかまえた!」

 

 これが一番可能性高いけど、、、

 

 でも・・・

 

 俺がこれをやると組織員達全員の死亡は確定する、、、

 もし、本当に一斉解除なら・・・組織員達は助かるのに・・・俺が阻止することになる。

 いや、それ以前に、

 ゲンスルーに触れ、キーワードを言う時間が・・・

 いくら気配は消していても、触感まで消すことはできない。

 だから触れた時点でゲンスルーに気付かれる。

 

 ・・・無事ですむとは思えない。

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 

 ぐぁぁぁぁあぁぁxっぁあxっぁあぁっぁああ!!! (;´Д`)

 

 

 

 どうすりゃいいんだーーーーーーーーー!!

 

 

 

 どうしたらいいんですかーーーーーーーーーー!!

 

 

 

 は!!!

 

 カウントが! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイィィィィイィィ!!!!!

 

 

 

 キイイイイイイイイイイイイイイイイイイ(;`Д´)

 

 

 

 

 も、

 

 

 もうだめなのか。。。

 

 

 俺は・・・

 

 ここで・・・死ぬのか。。。。

 

 

 

 いやだぁ、死にたくない。

 

 

 

 

 

 かといって今さらアジトへなんか戻れない。

 組織員達は頼りになんないし。

 

 

 

 

 

 

 

 ん。

 

 

 組織?

 

 

 

 そうだ。

 

 

 俺が本当に所属している組織。

 

 

 そうだ!

 

 

 あれがあった!

 

 えーっと、

 どこだっけ・・・あった!!

 

 

 リキ爺からもらった手のひらサイズの小型無線端末機!

 

 

 

 確か、リキ爺は「世界中どこからでも」って言った。

 

 もしかしたらここからでも届くかもしれない!

 

 俺は爆弾魔の念能力と、俺の置かれている現状をインプットした。

 

 よし、

 

 あとは・・・神頼み!

 

 届いてくれ!!!   送信!  ポチ。

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 無理かなぁ。

 

 

 

 でも、俺が最初に考えた「もう一つの可能性」が当たっていれば・・・

 

 

 

 

 

 

 「もう1つの可能性」・・・

 

 

 

 

 

 このグリードアイランドは現実世界で行われている。

 

 

 

 

 

 イータを見たときに、もしやと思った。

 

 

 

 仮想空間にしてはリアルすぎる。

 

  

 そしてグリードアイランドは「作られたもの」と「最初からあったもの」の区別が、はっきりしすぎている。

 

 

 最初からあった世界に・・・

 

 

 無理やり後から付け加えたような。。。

 

 

 

 そう、

 

 テーマパークに似た違和感。

 

 この世界には、それがつきまとっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 お願いだぁぁ。

 

 

 

 

 

 届いてくれぇ。。。

 

 

 

 

 

 

 届ぃてぇ。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピピピピピ ピピピピピ ピピピピピ

 

 

 

 ハゥア!! (;´Д`)

 

 い、いかん! うとうとしてた!

 

 ん!

  

 おおおお!!!

 

 ととととととととおととととと届いた!!

 

 マスターからのデータ!!!

 

 

 ピコン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

--------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

マスターだ。

 

ピンチのようだな。ルルーペ。

君の爆弾魔の情報から、私なりの考えをまとめておいた。

 

 

 

 

爆弾魔の念能力とその攻略法。

 

 

 

 

 まずは本体、ゲンスルーの念能力から説明しよう。

 

ゲンスルーの念系統は何系か・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 next  ストーキング30「マスターの考察」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング30

 

 

 

 

 

 

 ルルーペ、君が混乱するのも無理は無い。

 

 爆弾魔の念能力「命の音」(カウントダウン)・・・あまりに非常識な能力。

 

 念を爆発性物質に変化(変化系

 そしてそれを小型の爆弾に封入、しかもカウント表示式(具現化系

 爆弾は遠隔起動の時限式、タイムアップで爆発(操作系

 遠距離でも形状保持する爆弾(放出系

 爆発すれば絶対死亡の破壊力(強化系

 

 すべての系統に長けていなければ実現できない念能力。

 

 

 ここまでは君もわかっているはずだ。

 そして、

 

 こんな念能力、ありえない。

 

 君はそう思っている。

 だから解決の糸口も見えない。

 

 そういう場合には、結果だけを見ずに過程を見ろ。

 自ずとカラクリが見えてくるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 では、まずは爆弾をしかけた張本人ゲンスルーについて考えよう。

  

 ここでルルーペに質問だ。

 ゲンスルーは何系の能力者だと思う?

 

 

 変化系?

 放出系?

 強化系?

 具現化系?

 それとも操作系?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふふ、君は恐らく変化系寄りの具現化系と答えるだろうな。

 

 

 

  

 図星だろ。

 

 

 

 

 君がその結論に至った理由は、ゲンスルーのもう1つの念能力「一握りの火薬」(リトルフラワー)

 

 細かな爆発性物質を具現化させ、小さな火花を散らし(変化系)爆発させる。

 

 決定的なのは握ったものでなければ爆発させることができないということ。

 これは放出系を苦手とする具現化系能力者の典型的なパターンだ。

 

 

 

 だが、考えてみてほしい。

 

 実際にゲンスルーがひとりでやったことは他にもある。

ここで重要なのは「ひとりで」を考えること。

下記の3点がゲンスルーがひとりでやったことだ。

 

 

 1、対象者に爆弾をしかけた。(放出系) 「命の音」(カウントダウン)の下準備

 2、爆弾を全数遠隔発動させた。(操作系 「命の音」(カウントダウン)の発動

 3、「一握りの火薬」(リトルフラワー) (変化系、具現化系

 

 

 

 

 ふふ、ますますわからなくなってきたな。

 

 

 

 

 ゲンスルーは「爆弾魔」と言いながら触れた部分に爆弾を仕掛けることができる。

 これは隠を用いた微弱なオーラを相手の体に付着させていたと考えられる。

いや、付着というよりは微小な棘(とげ)のような念を皮膚に突き刺していたと考えるべきか。

そしてそのオーラは数ヶ月対象者に貼りついていた。

 つまり放出系能力に長けていないと実現不可能!

  

もちろん別の可能性も考えられる。

 「爆弾魔」と言って触れた箇所を対象者は無意識に記憶している。

 そして「命の音」(カウントダウン)の説明が終わったと同時に、

 対象者の念を用いて爆弾を強制起動させる。

 まぁ可能性はゼロじゃないが・・・

 失敗が許されない状況で対象者の記憶と念に任せるような能力にはしないだろう。

 

 

 そして、ゲンスルーは複数同時に爆弾を起動させた。

 これは操作系に長けていなければ実現できない!

 

   

 

 

 

 

ここでもう一度「一握りの火薬」(リトルフラワー)について考えてよう。

 

 「一握りの火薬」(リトルフラワー)「命の音」(カウントダウン)に比べて、

 あまりに弱い能力ではないだろうか。

 

 射程距離はゼロ。

 しかも爆発力は弱い。

 

ゲンスルー程の実力者が身に付ける能力じゃない。

 

 

 

 

 

 

ゲンスルーがひとりで行った中で念能力の強弱を表すと下記の通りになる。

 

1、対象者に爆弾をしかけた。(放出系) 「念能力レベル 

 2、爆弾を全数遠隔発動させた。(操作系 「念能力レベル 

 3、「一握りの火薬」(リトルフラワー) (変化系、具現化系「念能力レベル 

 

 

 

 

 

もうわかっただろ?  

 ゲンスルーは操作系、放出系に長けた能力者だ。

にもかかわらず、

 具現化系、変化系を駆使して「一握りの火薬」(リトルフラワー)を作り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 なぜ!?

 

 

 

 

 

なぜ、わざわざ苦手系統を用いた念能力を身に付けた?

 

 

 

  

ゲンスルーほどの実力者が選択ミスを犯したのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 違う。

 

 

 

 

 

 

 

 ゲンスルーは、

 

 

 

 

 

 

 

 そうせざるをえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 実はそれこそが爆弾魔の念能力の秘密を解く鍵なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは・・・

 強力な制約・・・

 

 

 系統封じ

 

 

 

 

 

 

 

 

 系統封じとは六性図の自分の得意な系統を、ひとつの能力に集中させ、

その能力以外に使用できないようにする制約。

 

 

 

 そうすることで、その念能力に限り選んだ系統を常時最大限に引き出すことができる。

これは俗に言う容量(メモリ)の概念とも一致する。

超遠距離形状保持複数時限爆弾操作という強力な特性を付加することができた理由だ。

 

 

だが「命の音」(カウントダウン)には他にも強力な特性がある。

 

複数同時爆弾具現化全爆弾の中を爆発性物質に変化全爆弾の爆発力強化

それを担ったのが残りの爆弾魔だ。

 

 

 

 

 

 

 つまり!

  

 

 ゲンスルーが「操作系」「放出系」

残りの2人が「強化系」「変化系」「具現化系」を担う・・・

 

 「命の音」(カウントダウン)とは!

 3人の爆弾魔が得意系統を持ち寄り!

系統封じ」の制約で作り上げた!

 全系統に異常に長けた念能力なのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 だが、裏を返せば、

  

 爆弾魔達は「命の音」(カウントダウン)以外に自分の得意系統を使用することができない。

得意分野の放出系、操作系のメモリがゼロだからだ。

 

 

 

 

 

 これでわかっただろう。

 

 ゲンスルーのもう1つの能力「一握りの火薬」(リトルフラワー)は、

 苦手系統で無理矢理作り上げた念能力なのだ。

 

 

 黒髪の爆弾魔はゲンスルーを本体と言ったそうだな。

 

 恐らくそれは念能力者としての実力とも比例する。

 ゲンスルー以外の二人は苦手系統で独自の念能力を作り上げたところで、

戦闘に使えるレベルまでにはならないだろう。

基礎念能力のみで戦うしかないだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 では・・・

 

 

 ここからが本題だ。

 

 

 

 

 君が生き残る手段を考えよう。

 

 

 

 

 

 

 やつらが「命の音」(カウントダウン)を得るために負ったリスクを逆手にとる。

 

 爆弾魔達を孤立させ、ゲンスルー以外の一人と戦い、勝利し、そいつを殺す。

 

これが一番確実かつ可能性の高い方法だ。

  

 3人のうち一人でも欠ければ、「命の音」(カウントダウン)は止まる。

 

 

 

 

 

 

   

  

 だが・・・問題は・・・・・君の実力だ。

 

 

 

 

 

  

 

 ハッキリ言っておく。

 

 

 

 爆弾魔に比べると君は・・・カスだ!

 

 

 クズだ!

 

 

 ゴミだ!

 

 

 

 

 

 

 

 だから君は直球で勝負してはいけない。

 

 

 

 

 変化球で・・・いや、魔球で勝負するしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 そこで提案する。

 

 

 

 

 

 

 あえてゲンスルーと戦え!

 

 

 

 

 

 

 やつは「一握りの火薬」(リトルフラワー)を身につけたがゆえに弱くなった。

 

 

 言ってる意味がわかるか?

 

 

 爆弾魔を演じるために身につけなければいけなかった能力だからだ。

違和感なく「爆弾魔」というキーワードを口にできる状況を作るために、苦手系統で作り上げるしかなかった。

 

そしてもうひとつ、

なぜ、爆弾の解除キーワードを「爆弾魔つかまえた」に選んだのか

 

 

 その答えがわかれば「命の音」(カウントダウン)は解除できる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・でもな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・ルルーペの実力では・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・正直・・・

 

 

 

 

 

・・・きついな。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 健闘を祈る!

 

 

 

 

---------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 えええーーーーーーーーーー!?(;´Д`)

 

 

 

 

 

 

 

 

 next  ストーキング31「 離脱(リーブ) オン!! 」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング31

 

 

 なんなんだよ、マスターのやつ。

 結局自分で考えろってか?

 

 何様のつもりだ!?(`Д´)

 

 

 

 

 

 何様・・・。

 

 

 

 

 何様だろう。。。

 

 

 っていうか、どんな人物なんだろう。

 

 

 実は俺、マスターと会ったことがない。

 

 会わずに組織に入った。

 画面上で不適に笑うバーテンの格好をしたアイコン

 それが俺の知るマスターのすべて。

 

 マスターっていうのはもちろん仮の名前だろう。

 容姿は? 年齢は? 性別は?

 それすらわからない。

 

 そういや組織に入るとき、テストなんかされた覚えないな。

 

 

 もしかしたら・・・

 

 これはテストなのかもしれない。

 

 

 この絶体絶命の危機を乗り越えたとき、俺は正式に「地下酒場」の一員として認められる?

 

 

 

 

 

 

 実は、

 

 マスターがくれたヒントから「ある方法」を思いついた。

 

 それは俺のリュックの中に入ってるものを使う。

 俺がグリードアイランドをプレイするにあたって、メモリーカードと一緒にヨークシンで手当たり次第に買ってきたゲームグッズ。

 その中のあるゲーム周辺機器を使う。

 

 そして、今までに俺の習得した基礎念能力の最高レベルの技を使う。

 

 あとは・・・ゲンスルーの行動を思い通りに誘導できれば・・・。

 

 そして俺の考えた最後の手段が使用可能であれば・・・

 

 逃げきることもできる。

 

 

 

 

 

 ・・・。

 
 

 

 

 

 

 

 恐い。

 

 

 

 

 

 

 

 今から・・・爆弾魔と勝負するんだ。

 

 

 

 

 自分より明らかに強い敵。

 

 

 

 

 今まで自分から敵と向き合ったことはなかった。

 

 

 

 

 

 今回も逃げたいけど・・・

 

 

 

 逃げれば死ぬ

 

 

 

 

 爆弾一斉解除なんて淡い期待にすがれば死ぬ

 

 

 

 

 わかっちゃいるんだけど・・・

 

 

 

 

 恐い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦うしかない。。。

 

 

 

 

 

 

 

 胃が痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 心臓が飛び出そうだ。。。

 

 

 

 

 

 

 

 ドキドキが止まらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カウントもヤバイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 行くしかない!

 

 

 

 

 ニッケス達が指定ポケットカードを渡す前に・・・。

 

 

 

 

 

 

 ・・・行くぞ。

 

 

 

 

 

 

 俺は!!

 

 ルルーペだ!!

 

 

 

 組織「地下酒場」の一員! ルルーペだ!!!

 

 

 俺の頭脳が勝つか、お前達の念能力が勝つか!!

 

 

 勝負だ!! 爆弾魔!!!

 

 

 

 

 離脱(リーブ)!!  オン!!!

 

 

 バシュ!!!

 

 

 

 

 

 

 next  ストーキング32「密室の死闘!! 『裏ルール』 」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング32

 

 

 

 ブゥゥゥゥゥン。

 

 

 古城・・・薄暗いゲームの部屋。

 閉めきった部屋特有の淀んだ空気・・・。

 

 少し・・・血の匂いがする。

 

 

 

 怪しく光る眼鏡。

 

 ゲンスルーだ。

 

 

 「・・・これはこれは・・・またまた新入りちゃんか。

 

  可愛そうに・・・大変なところに爆弾を仕掛けられて。

 

 

 ニタリと笑みを浮かべ、近づいてくる。

 

 

 左右には黒髪と細目の爆弾魔が、同じくニヤニヤしながらこちらを見ている。

 

 

 

 「カードを持ってるわけじゃないんだろ。

  ニッケスはどうした?

 

 

 眼鏡を着けてるせいか・・・感情が読めない。

 

 

 ゆらりと近づいてくるゲンスルー。

 

 

 

 ジリ、、、

 

 

 「お前、生首を見なかったのか?

  あれはお前ら全員への警告だったんだがな。

 

  あの男は『仲立ち』を条件に自分だけ助かろうとした。

 

 

  つまらん。

 

  俺達への侮辱だ。

  だから殺してやった。

 

 もう目の前までゲンスルーが迫ってきている。

 

 

 「さぁ、

  お前はどんな条件を俺達に提示するんだ?

 

 

 「・・・。

 

  ・・・一斉解除のことなんだけど、

 

  あんたら嘘ついてる。

  

  あれは一斉解除じゃない。

  一斉爆破だろ。」

 

 ピク。

 ゲンスルーが一瞬反応した。

 

 「爆弾解除するのに、

  3人が手を合わせ、「キーワード」を言いながら同時に発を行う、

  そんな制約いらないはずだからね。」

 

 

 右手中指で眼鏡の中心に触れるゲンスルー。

 

 

 「・・・もし、

 

  そうだとして・・・。

 

  お前は組織員達にそれを教えたのか?

 

 

 

 「・・・いいや。教えてない。」

 

 

 「言ってることがよくわからんな。

 

  一斉爆破とわかってて、何故ニッケス達に教えない?

  そしてその事実を、何故俺達に告げた?

  

  ・・・。

 

  もしかして・・・

  ニッケス達に教えないから俺だけ助けてくれ。・・・とでも言いたいのか?

 

 

 (ぐ・・・っ、

  ・・・空気が震えるような威圧感・・・。

 

   ・・・負けるな!)

 

 「・・・いや。

  それなら、あんたらがここで俺を殺せば済むこと。

 

  俺が爆弾解除のために提示する条件は・・・

 

 

  指定ポケットカード『大天使の息吹』との交換だ!」

 

 

 

 

 ・・・少しの沈黙。

 

 

 爆弾魔達は表情を変えない。

 

 

 「ハ、ハハハ、おい聞いたか。

 

  何を言い出すかと思えば・・・

  あのカードは組織の活動の肝だ。

  ニッケス達がお前のような新入りに預けるわけがないだろう!

 

  ハハハハハ!

  ヒーッハハハハハハハ!!

 

 

 

 

 

 「・・・だから・・・・・奪った。」

 

 

 

 

 「

  何だと・・・?

 

 

 「ニッケスは指定ポケットを集める際に、まずバインダーを空にした。

  そして、最初にスペルカード40種を集めて『大天使の息吹』を精製した。

 

  その瞬間、

  俺は「窃盗」(シーフのスペルで『大天使の息吹』を頂いた。

  確立は100%。

  あとは離脱(リーブ)で逃げてきた。

  あんたがやったように。」

 

 

 顔を見合わせる爆弾魔達。

 

 

  

 「・・・なるほど。

 

  嘘か本当かわからんが・・・

  少なくとも、前の男よりは交渉の何たるかがわかっているようだ。

 

 

 

 

  ・・・だが 

 

 フッ

 

 ゲンスルーが消えた!!

  

 !

 真下に気配!

 首を勢いよく捕まれ!

 次の瞬間、、、

 ぐぁぁ、、

 つ、吊り上げられた。

 

 (こ、ここだ!)

 

 「ボ、爆弾魔・・つかまえた・・。

 

 ブン!

 股間の爆弾が消える!

 

 

 「ハハハ! 今さら爆弾を解除してどうする!

  お前はこれから首が吹っ飛ぶんだ!

 

 「・・・へ。

  いいのか・・よ。

  俺が死ん・・だら、『大天使の息吹』は・・消えるぜ。」

 

 

 「さっきの奴も同じことをほざいてたが・・・

  残念だったな。

  ゲームの外ではプレイヤーを殺して指輪を奪っても、指定ポケットカードのデータは消えない。

  これを俺は『裏ルール』と呼んでいる!

 

 「じゃぁ、これも『裏ルール』だな。」

 

 「・・・何だと?

 

 俺が視線を落とした先は、俺のパンツの右ポケット。

 ゲンスルーが俺の目の動きにつられ、視線を落とす。

 

 ポケットから伸びるのは・・・

 

 

 コード!

 

 

 そしてその延長コードは俺が出てきたゲーム機の空スロットに接続されている!

 

 いくぞ! 俺が修得した最高レベルの念格闘術!! 

 

 

 

 

 

 

 

 周(しゅう)!!(`ε ´;)

 

 

 俺の念はコードを伝い!

 そしてゲーム機へ!!

 

 ゲンスルーが気付いた!!

 「ちっ! 死ね!!

 

 バシュ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは!!

 

 スタート地点の空間!!

  

 よし!!!

 

 思ったとおりだ!!

 

 発を行いゲーム機に自分の念を当てることでゲームはスタートする。

 ということはだ、

 ゲーム機に自分の念が届けば、どんな方法だろうとかまわないということだ。

 これがルルーペ式『裏ルール』その1

 

 ゲーム機から出た瞬間、空スロットに延長コードを差し込んだ。

 気付かれないように。

 俺が最初、ゲームに入った時、俺が選んだゲーム機には空きスロットがあと1つ残されていた。

 だから新しいプレイヤーがいなければ空いているはずだった。

 まぁ、もし空いていなくても、ゲーム機の下に延長コードの端を挟めばそれでことは足りた。

 

 

 

 あとは逃げる方法!

 

 

 ルルーペ式『裏ルール』その2を使う!!

 

 

 「ようこそ! グリードアイランドへ。

  おお、あなたはルルーペ様ですね。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シカト。

  

 

 

 

 

 

 

 

 ゲームスタートは1度に一人しかできない。

 

 であれば!

 このイータの部屋で居座る!

 

 

 ゲンスルーは追って来れない!!

 

 

 

 

 「・・・イータさん。

  念のため聞いておきますけど・・・

  もしこのままずっと黙ってたら、どうなります?」

 

 

 「この始まりの部屋でゲームスタートしないまま5分経過すると、

  自動的にログアウトされます。

  つまり、ゲーム機の前へ逆戻りしてしまいます。

 

 

 「あ、やっぱり。(;´ー`)

  

 だめか。

 

 ハイ、『裏ルール』その2玉砕。

 

 

 

 「じゃ、すみません。

  はじめからお願いします(*´ー`*)

 

 「フフw

  ようこそ、グリードアイランドへ。

  あなたはもしやルルーペ様ですね?

 

 「いいえ。

  違います。

  僕の名前はハイド。 カール=ハイドです。」

 

 

 これが『裏ルール』その3

 ID変更!!

 別IDで再登録すれば、誰とも会っていない状態からスタートできる!

 つまり、魔法の追跡からも逃れることができる!

 バインダーも初期化されるだろうけど、命には変えられない!!

 

 

 

 

 「だめです。

  あなたは一度『ルルーペ』で登録されております。

 

 

 「なんで? なんでわかるの!?

  プレイヤーが仮面つけてたら!?

  変装していたら!?

  本人の入替わりなんか見破れないじゃん!!」

 

 「いいえ。わかります。

  そういうシステムですので。

 

 「頼むよ!

  命を狙われてるんだ! 相手は危険な殺人犯、凄腕の念能力者なんだよ!

  あの、、ほんと、頼みます。

  お願いします!!!」

 

 

 

 「だめです。

 

 

 

 

 

 (くっ・・・・・この女。) 

 

 

 

 「ちぇ。

  そりゃそうだよな。それが仕事だもんね。

  じゃぁルルーペでいいです。

  今の忘れてくださいね(´ー`)」

 

 

 「お気をつけて行ってらっしゃいませ。ルルーペ様。

 

 

 「あ、そうだ。

  もう少しでグリードアイランドで大量の死人が出る。

  もし、、、

  いや・・・

  

  ・・・何でもないです。」

 

 

 言おうと思ったがやめた。

 もし彼女がゲームマスターであったとして・・・

 彼女はシステムの一部を演じる義務がある。

 彼女が自分の主観で行動すれば、恐らくこの世界は大変なことになる。

 その判断を彼女にさせるのは・・・・・卑怯だ。

 

 プレイヤーはプレイヤー自身の裁量で解決するしかない。

 

 それがゲームの掟なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 見渡す限りの大草原。

 

 よし! 

 なんとか五体満足で戻ってこれた!

 

 あとは爆弾魔の追跡を振り切るだけだ!

 

 

 

 ブック!

 

 俺は 084 『聖騎士の首飾り』 D-60 を取り出した。

 ゲイン!!

 実はこのカード、非常に使える指定ポケットカードなのだ。

 身に付けるだけで、「反射」の効果と、「擬態」「贋作」のカードを元に戻す効果が得られる。

 このカードをニッケスの組織が所有している数は約60

 あの組織では仲間になったと同時に、まずこのカードが支給される。

 交渉の際、絶対不可欠だからだ。

 では『聖騎士の首飾り』を独占してるのかというとそういうわけではない。

 ほとんど皆、ゲインして身に付けている。

 そしてゲーム外へ出る度に、新たに付け直している。

 つまりこのカード、利用頻度が高い分、独占しにくいカードなのだ。

 

 そして・・・ 023 『アドリブブック』 B-30 を取り出す!

 

 ボン!

 

 ちぇ、「擬態」(トランスフォーム)って結構レアだったんだけどなぁ。

 まぁゲーム外へ出たらどうせ消えるわけだし。

 

 

 

 移動スペルはこれしかないもんな。

 しょうがない。

 

 

 

 

 いくぜ!!

 

 

 

 いい目が出ろよ!

  

  衝突(コリジョン)!!  オン!!

 

 

 バシュ!!

  

  

 

 

  

 

第5章

「裏ルール」  完

 

 

 

 

 

 

 

そして、いよいよルルーペはグリードアイランドの裏舞台へ!!

次回!! 第6章 『裏プレイヤー』編 スタート!!

 next  ストーキング33「爆弾魔の追撃! ルルーペ豹変!」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

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