ストーキング6

 

 俺は今、高度百メーターあたりを飛んでいる。

 何故、こんなことになったんだろう。

 頭がテンパってわけがわからない。

 ちょっと整理してみよう。

 

 

 

 ・・・。

 

 

 そうだ、まずはあの女。

 ヴェーゼ

 あれにはビビった。

 

 

 彼女が残した言葉から想像するに、彼女は団長だけが知る蜘蛛の協力者。

 いわゆる個別行動するもう一匹の蜘蛛といったところか。

 

 

 いや、おかしいとは思ってたんだ。

 これだけ大掛かりな犯罪のわりには、旅団全員が実行部隊・・・、

 先行して情報収集やマフィアの動向を探る者がいないわけがない。

 

 

 団長が彼女の存在を団員に話してないのは、まぁ、いかにも団長らしいな。

 騙すにはまずは味方から。

 スパイの存在を知るのは自分だけでいいってわけだ。

 

 

 ヴェーゼが最後に残した言葉。

 「さて、と・・・やっと身軽に動けるわ。

  あたしはあたしの好きなようにやらせてもらうわよ、クロロ・・・

 

 これは彼女の役目の終わりを意味する。

 情報収集を終え、自由に行動できるようになったって訳だ。

 

 

 彼女はこのヨークシンで何をやらかすつもりだろう。

 今となっては探る手立てはない。

 

 

 

 

 そうそう、意識を失っていたシズクだが、

 目覚めるとフラフラと会場の方へ戻っていった。

 やはりヴェーゼに関する記憶は消されているらしかった。

 

 

 

 ちなみに金庫の中には何も残っていなかったそうだ。

 陰獣と呼ばれるマフィア最強の実行部隊のひとり、という名の男の仕業らしい。

 

 俺の真下で喋ってる毛皮男ウヴォーギンから聞いた。

 

 

 

 ・・・。

 

 

 

 そう、俺は今、空を飛んでいる。

 気球に必死にしがみついて・・・(;´Д`)

 

 

 

  こうするしか・・・逃場が・・・なかった・・・(´Д`)

 まさか他の団員も来てるなんて知らなかったし。

 四方から屋上の気球に向かって来るんだもんなぁ!!

 

 

 ・・・気球の上に張り付くしかなかった。

 

 

 

 俺の真下には団員7名

 さらにその下、地上には武装マフィア数百名

 そして、今、追跡を開始したであろう陰獣10名

 

 あぁぁー、帰りたいー。

 生きた心地がしないー( TДT)

 

 

 

next  ストーキング7「超獣ウヴォーギン! 捕獲される。」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング7

 見渡す限りの岩場に着陸。

 俺はすかさず岩の影に飛び下りた。

 

 

 ん? 

 そこまで接近して蜘蛛に気付かれないのはおかしいって?

 

 

 言ったろ、俺は『絶』の達人だって。

 

 

 でもここでいう『』は四大行の絶とは違う。

 

 

 ハンター用語でね、気配を絶つことをひっくるめて『』と呼ぶんだ。

 

 

 俺はオーラを消してない。

 

 つまり、四大行の絶を使って気配を絶っている訳じゃないんだ。

 

 

 

 俺は変化系能力者。

 

 

 自分のオーラを周囲の空気と同質に変化させ、溶け込むことができる

 

 

 そう、俺は空気になれるんだ

 

 だから気配もクソもない。

 誰にさとられることもない。

 

 これ程、のぞk・・ゴホン尾行に向いている能力は無いと確信している。

 

 

 

 まぁ、なんていうのかなぁ。 (´ー`) 最強ー?

  

 なんせ、A級賞金首のあの蜘蛛ですら俺のk『は!!!!!』

 

 

 

 

 あ、あはぁ・・・。

 

 こ、こま鼓膜がぁ・・・。

 

 

 

 

 

  陰獣が全滅してる。

 

 

 よく見てなかったけど、ウヴォーギンの周りに転がってる死体を見る限り・・・ウボーギンの勝利だ。

 

 しかし・・・すさまじい強さだ。

 

 

 

 

 

 ウ、ウヴォーギンが飛んでった・・・。

 

 

 チェーンが巻き付いたように見えたけど。

 

 

 ぬぅ、陰獣もやるね。

 

 ウヴォーギンはもうだめだな・・・。

 なぶり殺されるに違いない。

 

 

 大声出した罰だ。御愁傷様( ´ー`)

 

 

 

 

 蜘蛛は、、、ん?  あ! マフィアの車で追跡する気だ!

 

 

 ちょっとま、

 くそ、ここまで来たら、どこまでも追っていくぞ。

 

 

 待て、コラー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハァハァハァハァハァハァハァ・・・。

 

 

 

 ・・・おいていかれた。

 

 

 

 

 俺を・・・怒らせたな。

 

 

 

 ちょうどマフィアが乗ってた車がゴロゴロ転がってる。

 ・・・これで追跡だ。

 

 その昔、『豆腐屋の息子並み』と謳われた俺のドラテクを見せてやる!

 

 待ってろよー!

 

 

 レッツストーキング! GOー!!

 

 

 

 

 next  ストーキング8「激突!! 陰獣vs蜘蛛 勝つのはどっち?」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング8

 

 追いつけませんでしたー。

 

 

 追いついた時にはもう、戦闘が始まろうとしてましたー。

 

 

 

 

 

 

 戦闘を見てたので、ざっと陰獣の紹介。

 

 

 

 

 黒豹(クロヒョウ)

 高速格闘術の使い手です。

 すごい俊足です。

 フェイタンと戦ったのですが、二人ともあまりに速くて、よく見えなかったです。

 勝負は一瞬。

 フェイタンが勝ちました。

 

 

 

 

 蝙蝠(コウモリ)

 変なスーツを着込み、その中に念を満たして膨らませ、自在に飛ぶことができる。

 まぁ、翼を具現化することができなかったから、

 念を袋に入れて膨らませ形をつくる」っていう方法をとったのだろう。

 その時点で実力は知れている。

 

 生きたまま人の血を吸い尽くすのが趣味だそうだ。

 またそうすることで、念の絶対量も跳ね上がるとのこと。

 

 執拗にマチばかりを狙ってました。

 

 悲しいかな、男のサガだ。

 結局、糸に絡まって捕獲され、そのまま絞め殺されました。

 

 

 

 

 

 象亀(ゾウガメ)

 鉄壁念防御の使い手。

 確かにすごいだけど、それだけなんだよね。

 決め手となる攻撃力がない。

 結局、この爺さんもマチに倒された。

 

 マチ・・・強い。

 針の先一点に念を集中して、鉄壁の纏を撃ち破った。

 あんな使い方もできるのか・・・

 旅団の中でも、抜きん出た実力と見た。

 

 

 

 

 

 蜥蜴(トカゲ)

 念で具現化した尻尾を使って攻撃。

 本来、人に無いものを具現化するというのは、相当なイメージトレーニングが必要だったはず。

 

 戦ったのはシズク

 蜥蜴の予測のできない攻撃に苦戦・・・でもなかった。

 

 尻尾を切られて、「ハハハ、俺はトカゲ! 尻尾は再生するぜー!

 とか、ほざいてた。

 

 

 あんた、それ・・・具現化した尻尾だろ。当たり前じゃん。

 

 失笑だ。

 

 結局、シズクに倒された。「ぺさ〜〜〜〜〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こいつは・・名前忘れました。

 もう、確かシャルナークに殺られました。

 あの特徴的な服の、この、丸っこい、アレで攻撃とかしてたけど、

 シャルナークに、こう、ズバっと殺られました。

 

 

 

 

 そして、最後にこの人。

 梟(フクロウ)   

 オークションの宝を持去った張本人。

 高速で走る車にダイブして、ノブナガを捕獲したらしい。

 ああぁ、見たかったー。

 カッコよかっただろうなぁ。

 

 個人的に応援してたんだけど、念能力を発動するまえに倒された。

 さすが旅団だ。どんな相手が一番危険か、よく心得てる。

 特質に近いレベルまで具現化能力を高めた念能力者相手に、長時間かけて戦おうとはしない。

 

 

 

 

 

 終わってみると、蜘蛛の一方的な勝利だった。

 まぁ予想してたけど。

 

 

 

 ん? でも待てよ、陰獣は10人。これで全部。

 じゃぁウヴォーギンを連去ったのは・・・だれ?

 

 

 賞金首ハンターかな。

 

 まぁ、いいか。

 

 

 

 蜘蛛は梟を拉致って、アジトへ帰っていった。

 

 

 

 

 よし、今日の尾行はここまで!

 

 

 つ、疲れた。。。

 

 いくら任務とはいえ、これじゃぁ過酷すぎる。

 帰ったら文句のひとつでもいってやる。

 

 

 さて、安全ドライブでやつらのアジトまで戻るか!

 

 そうだ! 帰りにヨークシンでハメを外そう。

 そうでもしなきゃ、やってらんねー!

 

 

 「お前・・・何者だ。  さっきから・・・見てたよな。

 

 

 

 

 

 背筋が凍った。

 

 

 

 

 ヤバい・・・見つかった。

 

 

 

 

 俺の背後に誰かいる。

 くそ、迂闊だった。

 

 

 

 

 

 

 

 殺される。

 

 

 

 

 しかし・・・誰だ?

 

 俺の真後ろに立つ、この声の主は・・・。

 

 

 

 next  ストーキング9「追跡者」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング9

 

 「両手を上げて、そのまま俺の質問に答えろ・・・。

 「いやいやいや、僕、ほんと違うんですよ。

  そんなんじゃないんですよ。ただ偶然ここを通

 名前を答えろ

 「は、はいぃぃ!!(;´Д`)

  名前はルルーペ!

   血液型はB型。

  好きな女のタイプは、ちょっと冷たい目をし

 「・・・だまれ

 「だだだ黙ります! 黙ります! だから、、、だから、、、

  こ、こ殺さないでー!!(; TДT)

 

 

 「俺の質問に、嘘をつかずに答えたら危害は加えないつもりだ。

 ほホントに!

  絶対ですよ! 約束ですよ! じゃぁ、何でも答えます。なんでも売りm

 だまれ・・・殺すぞ!

 (;´Д`)・・!!

 

 

 「第一の質問・・・

  お前が蜘蛛を追っている理由は?

 

 「あいははは、えーと、実は『地下酒場』という組織の一員で、

  今回の任務が幻影旅団の情報収集で、つ追跡役として、わわた私が抜擢された次第でありまして・・・

  あ、でもホントはやりたくなかったんですよ。いや、マジで。マジで。

 

 「・・・『地下酒場』・・・聞いたことがある。

  確か、アンチハンター協会を掲げる組織・・・

  その管理者達のひとりか・・・

  なるほど・・・

  

  第ニの質問・・・

  お前が知っている蜘蛛の情報のすべてを俺に話すことができるか?

 「ははははhなははなはhなは話します話します。すべて話します。

 

 

 「最後の質問・・・

 

  俺も蜘蛛の追跡者だ。

 

  お前の念能力・・・尾行には最適。

 

  どうだ? 俺と組まないか?

 

 「え?

 

 「YES か NO か・・・

 

 「イ、イエス!!

 イエ〜ス!!(´Д`)

 

 

 「フフ、面白いやつだ。

 

 

 「よし、後ろを向いていいぞ。

  今日から俺達はパートナーだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 (陰獣の蜥蜴(トカゲ)!

 (生きてたのか)  

 

 

 

 「まずは情報交換から始めようか。

 

 

 

 next  ストーキング10「因縁の過去・・・最強の陰獣」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング10

 

 「・・・ふむ、なるほど、地下競売でそんなことが・・・

  さすがは幻影旅団、やることが豪快だ。

 

 

 

 

  今度は私のことを話そう。

 

 

 

 トカゲは自ら喋りはじめた。

 

 

 

 トカゲは「偽死能力」を駆使して生き残った。

 つまり死んだフリをしていたのだ。

 

 鼓動まで止めてしまう能力。そりゃ旅団でも騙される。

 

 

 「尻尾具現化能力」と「偽死能力」から、彼にはトカゲというコードネームが与えられた。

  

 だが、その2つの能力はフェイク。

 

 真の能力については語らなかった。  当然だ。

 

 

 

 

 彼が「偽死能力」を使った理由は、複数の団員を相手にしたくなかったため。

 

 

 1対1なら勝てる自信はあるというが・・・

 

 ・・・ウソくせぇ。

 

 なーんかウソくせぇー。

 

 

 そしてもう一つの理由は、彼のターゲットが団員の1人だけだから。 だそうだ。

 

 ?

 どういう意味だろう?

 

 

 「不思議そうな面持ちだな。

 

  ちょっと、長くなるが・・・話そう。

 

 

 

  始まりは数年前。

 

 

  まだ俺は陰獣にはなっておらず、マフィアのボスの身辺警護を任された一介の用心棒だった。

 

 

 

  ボスは素晴らしい男だった。

  

  大きな野望・・・それに見合う行動力と統率力。

  十老頭の中でも抜きん出た存在だった。

  それに心が大きかった。

  俺のような、戦うだけしか能のない用心棒にも自分の熱い夢を語ってくれた。

  まるで実現したかのように嬉しそうに語るボス・・・俺達もいつしか同じ夢を見るようになっていた。

 

  彼の夢は10組織の統一

 

  統一に成功すれば、マフィアはハンター協会と並ぶ程の権力組織となる。

  

 

 

  ボスにならできる。

 

  俺は確信していた。

 

  現に、統一は目前だった。

 

  

  目前だったんだ・・・・・

  

 

  ・・・・それなのに!

  

 

  あいつの手によって! その野望は砕かれた!!

 

 

 

 

  ボスは暗殺されたのだ・・・ボス直属の陰獣によって。

  

 

  俺は、、、そのとき、ボスのそばに居ながら、、、何もできなかった。

 

 

 

 

  

 

 

  その陰獣は無口だが、信頼は篤かった。

 

 

  そして、恐ろしく強かった。

 

 

 

 

 

  憧れていた。その強さに。

 

 

  皆が認める『最強の陰獣』・・・だったんだ。

 

 

 

 

  だがヤツは裏切った。

  ボスを殺した。

 

 

 

  あの日以来、俺は復讐だけを考えて生きてきた。

 

 

  あいつだけは俺が倒す。

 

 

 「?

  その最強の陰獣っていうのが、蜘蛛の現メンバー?」

 

 

 「厳密にいうと、最初から幻影旅団のメンバーだった。

 

  つまり『スパイ陰獣』だったのさ。

 

  マフィアの情報は筒抜けだった。

 

  挙げ句の果てにボス暗殺だ。

 

 

 「最強の陰獣か・・・いったいそいつは・・・?」

 

 

 

 「陰獣には念能力の特性からとった『生物名のコードネーム』が与えられる。

 

  ヤツにももちろんコードネームがあった。

 

 

 

 

  そのコードネームは・・・

 

  

  

 

  蜘蛛(クモ)。

 

 

 

 !!

 

 

 

 「それって・・・」

 

 

 

 「ああ、

 

 

 

      

 

  念糸を操るあの女・・・・・マチだ。

 

 

 

 

 

 

  俺はあの日のことを一時たりとも忘れることはなかった。

 

 

  ・・・忘れられなかった。

 

 

 

  今でも・・・目を閉じると浮かんでくるんだ・・・。

 

  あの惨劇。

 

 

 

 

 

  そして・・・

  

  感情のない・・・まるで動く人形のような・・・・・黒く濁った冷たい瞳。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2章  最強の陰獣

 

 

 

 

 next  一触即発の第3章 『もう一つの念能力』!!

          ストーキング11 「絡み合う鎖」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

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