ストーキング58

 

 

  

 ルージュが戻ってきたのはそれから数日後だった。

 

 

 

 

 「随分遅かったじゃん。

 

 「ちょっと外で調べものがあってね。

 

  あんたこそ随分早かったじゃない。

  ・・・まさか、ビビってレイザーから逃げ出したんじゃないだろうね。

 

 

 「ま、まさか(;´ー`)。

  そんなわけ、

  ないじゃん。 

  

 

  何気にすごい情報を手に入れたぞ。」

 

 

 

 

 俺は『レイザーと14人の悪魔』のイベントから、アベンガネとヒソカがクロロの除念のために手を組んだことまで、

 詳しく説明した。

 

 

 

 

 「ジン・・・そう言ったのね。

 

 「ゴンの父親って話だから、本名はジン=フリークスだと思う。

  知ってるの?」

 

 「知ってるも何も、知らないあんたがおかしいのよ。

 

  ジンは幅広い分野で数々の偉業を成し遂げたハンター。

  私が知ってる時点では”ダブル”の称号を持っていた。

  もしかすると今は”トリプル”に昇格してるかもね。

  それだけの功績は残してる。

 

 

 「へー。

  やっぱりこのゲームはとんでもない人が作ってたんだ。」

 

 

 「人達よ。

  ゲームマスター全員がジンの仲間ってわけ。

  

  ・・・手強いねぇ。

 

 って言う割には、顔が笑ってるんですけど。

 

 

 「あ、そうだ。

  はい。

  とりあえず離脱(リーブ)渡しとく。

  いきなりレイザーがやってきたら殺されるから。」

 

 「大丈夫よ。

  正規のルートから入るプレイヤーは過去にバグと判断されていても受入れられる。

  また何かやらかしたら、レイザーが消しに来る。

  それだけよ。

 

 「あ、そう。

  それを聞いて安心した。

  

  じゃぁ、これからどうする?」

 

 

 「あんた、レイザーに部下がいるって言ってたね。

  元死刑囚の14人。あ、もう13人になったんだっけ?

  

  腑に落ちないのよね。

  

  そいつら、排除(エリミネイト)でいちいちゲーム外に飛ばされてると思う?

 

 

 「んなわけないでしょ。」

 

 

 

 「じゃぁ排除(エリミネイト)の対象外ってわけよね。

 

 

 「あ!

  ってことは・・・正規のルートから入島したってことか?」

 

 

 「その可能性が高いわね。

 

  そして島に入った後に『見えないプレイヤー』として登録された。

 

 

 「『見えないプレイヤー』?」

 

 

 「そ。

  バインダーに名前の載らないプレイヤーとして登録された可能性が高い。

  

  ということは・・・

 

 

 「ゲーム機が存在するってことか!?

  

  あいつら13人の名前の登録されたゲーム機が!!

 

 

 

  ん?

 

  

 

  あ、ごめん。

  そういや囚人のひとりが死体運んでる時にそんなこと言ってた(;´ー`)

 

 

 

 

 

 「・・・あんた、

  殺すわよ。

 

 「す、すんません(;´Д`)」

 

 

 「つまり、

  そのゲーム機が置いてある場所がゲームマスター達の外部世界のアジト。

  そこになんらかの重要な情報があるはずよ。

  もしかしたらコピー元のオリジナルの保管場所『宝物庫』の在り処がわかるかもしれない。

 

 

 「・・・。

  うーん。

  でも待ってよ。

 

  レイザーの隙を突いて、奴らのうち1人を拉致ったとして、

  それからどうすんのさ?

  

  『離脱』(リーブ)を渡してゲーム外へ出させる?

  でも、絶対に戻って来ないぞ。

  あいつら死刑囚だからな。」

 

 

 「わかってるわよ、そんなこと。

  

  でも可能なのよ。

  

 

  3時間以内なら私の念能力で思い通りに操ることができる。

  

  3時間以内ならね。

  

 

 「・・・マ、マジっすか(;´Д`)

 

 (こ、こえぇ。

  それって俺も操られる危険ありってことだよな。)

 

 

 「でもリスキーだね。

  レイザーの目を盗んで、要塞に侵入して連れ出す。

 

  ・・・。

 

  (;´ー`)

  無理でしょ。」

 

  

 「でもやるしかないわ。

  調査させてゲーム内にもど・・・

 

  あ、

 

 

 

  ダメだ。

  スタートの部屋にはイータが、ゲームマスターがいるんだった。

  

  そのままゲーム内に戻すとは思えない。

  

 

 

  ちっ。

 

 

 

 「・・・。

 

  待とう!

  誰かがゲームクリアするのを。

   

  ルージュの最初の直感を信じる。

  『宝物庫』はリーメイロ城にある!」

 

 

 ルージュが不機嫌そうな顔でこっちを睨む。

 

 「まぁね。

  リーメイロ城は今までどのカードのイベントにも絡んでいないわけだから、

  『000』の指定カードか、もしくはエンディングに絡んでくる可能性が高い。

  そのドサクサに紛れて侵入するか。

 

  でも本当にゲームクリアは近いんだろうねぇ?

 

 

 「大丈夫。

  爆弾魔か、ツェズゲラか、それともゴンか・・・。

  もうすぐ決着が着くよ。

  

  それに俺達より先に痺れを切らすとしたら、幻影旅団だ。

  つまり、

  近いうちに何かしら変化がおきる。

  

  それを待とう。」

 

 

 

 「・・・そうね。

  現時点ではそれがベストか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数週間後。

 

 

 

 

 

  next  ストーキング59「支配者の祝福」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーキング59

 

 

 

 

 

 

 『プレイヤーの方々にお知らせです。

 

 !?

 

 「なんだ!? なんだ!!?」

 

 「始まったね。

 

 

 『たった今、あるプレイヤーが99種の指定ポケットカードをそろえました。

  それを記念しまして今から10分後にG・I内にいるプレイヤー全員参加のクイズ大会を開始いたします。

 

  問題は全部で100問!

  指定ポケットカードに関する問題が出題されます。

  正解率の最も高かったプレイヤーに賞品としまして・・・

  000カード! 「支配者の祝福」が贈呈されます!!

  

  みなさまバインダーを開いたままでお待ち下さい!

 

 

 

 

 

 

 「クリアしたのは誰?

 

 

 

 「え〜っと、

  待ってよ・・・

 

  ゴンだ!!

  すっげー!! 爆弾魔に勝ったんだ!!」

 

 

 

 「・・・。

  000のイベントは全員参加のクイズか・・・。

  

  ということはリーメイロはエンディングのイベントに使われると見て、ほぼ間違いないわね。

 

 

 「そうだね。

  

  でも・・・誰が000をゲットするんだろう?

 

  普通に考えたら、自力で指定ポケットカードを手に入れてきたプレイヤーが有利だよな。

 

  ツェズゲラチームはリタイヤしたみたいだし、

  爆弾魔は多分身柄を拘束されてるはず・・・

  

  やっぱりゴンチームが有利か。」

 

 

 「・・・。

  

  じゃ、あんた今からゴンのところへ行ってきて。

 

  

 「

  い、いやだよー(;´Д`)

  何言ってんの!?

 

 

 「000のカードの内容見てきてよ。

  あとゲームクリアイベントの確認と。

 

 

 「やだって!

  爆弾魔を倒すほどのガキ達だぞ! バケモノじゃん!」

 

 

 「大丈夫。

  今、ゴンのまわりにはハイエナみたいな奴らが集まってきてるはず。

  それに紛れてりゃ大丈夫よ。

 

 

 「え〜〜〜。

  ハイエナ全員ぶっ飛ばされるかもよ。」

 

 

 「そん時は上手くやんなさい。

 

 

 『それでは、これよりクイズの出題を始めます!!

 

 「ほら!!

 

 『第一問!!

 

 「早く!!

 

 「んんんん!!

  鬼ぃ!  悪魔ぁ!!

  ち、ちくしょー!(;´Д`)

  磁力(マグネティックフォース) オン!  ゴン!!

 

 バシュ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ザシュ!!

 

 

 なんか・・・いい使いっ走りだ。

 くそ、おぼえてろ!!

 

 

 

 

 

 

 

 見渡しの良い草原。

 

 ほんとだ。

 

 ゴンの周りに何人もプレイヤーがいる。

 みんなバインダーを開いてるけど・・・。

 開いてない人もいるな。

 開いてるけどそわそわしてる人も。

  

 

 あ!

  

 アベンガネもいる!

 

 

 こっちに気付いたな。

 

 

 じっとこっちを見てる。

 

 

 

 やがてアベンガネは歩き出した。その先には・・・、

 爆弾魔が縛られて横たわっていた。

 そして爆弾魔にそっと触れると、

 微かに煙のようなものが、衣服の間から出てきた。

 

 ・・・そうか。

 除念後の条件をクリアしたわけだ。

 

 これでグリードアイランドの外に出られるな。

 

 

 

 そしてその光景をゴンとキルアの隣から、じっと見つめる少女。

 

 まばたきもせずに、無表情でアベンガネの動作のひとつひとつを観察している。

 いや、

 アベンガネだけじゃない。

 ゴンとキルアの周囲360度すべてを警戒している。

 恐らく・・・

 20mの境界線を越えたら・・・

 

 

 

 

 

 

 喉が渇く。

 

 

 

 今、ゴンとキルアが笑顔で無邪気にクイズに答えられるのは、この少女が周囲に目を光らせているから。

 

 念を使ってないのに、この緊張感。

 

 あの少女の実力も計り知れない。

 

 

 やはりゴンチームは強い。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 ん?

 

 

 あれ?

 

 少女、座ったと思ったら・・・うとうとし出したぞ。

 

 ね、寝てんのか?

 

 い、いや、

 そんなはずねー。

 寝てる振りして周囲の気配に気を張ってるはず!

 

 

 

 ZZZ

 

 寝息が聞こえる。。。

 

 

 ・・・うーん、

 やっぱり普通の女の子なのかな?

 

 

 でも消えるなら今!!

 

 

 消える男(サイレントキラー)発動!!

 

 

 

 

 

 

 

 『終了ーーーーーーー!!

 

  それでは、これより最高得点者を発表します!!

 

 

 

 

  最高点は

  100点満点中87点!!

 

 

  プレイヤー名

 

 

 

 

  ゴン選手です!!

 

 

 

 お、

  

 やっぱりゴンだった。

 

 

 ホントすごいよ。

 おめでとう!

 

 

 

 『ギエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

 

 梟だ!

 

 あ! 手紙を落としたぞ。

 

 

 よし、ゴンの後ろに回るぞ!

 

 

 

 

 110 支配者からの招待  SS-1

 

 この島の支配者からの招待状

 城の場所を示した地図と

 バッジが同封されており

 それを持つもののみが入城を許される

 

 

 

 

 

 リーメイロだ!!

 

 

 先回りしよう!!

  

 

 

 俺は消えたままゴン達から遠く離れた。

 

 

 じゃぁな、アベンガネ!

 

 

 

 「磁力(マグネティックフォース)オン! ルージュ!!

 

 

 バシュ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なるほどねー。

  周囲にプレイヤーが集まってる状態で000のカードを手渡すのは危険。

  ゲームマスターの配慮かしら?

 

 

 「あの入ったのに入れない城。

  その仕掛けを解かずに入ることができるのはバッジを着けた者のみ。

  つまりバッジは、アンチトラップの効力を持った念具だね。」

 

 「ということは、

  結局バッジがないと入れない。

 

 

 「いや、

  それはまだ000が城の中にあるからかもしれない。」

 

 

 「どういうこと?

 

 

 

 「エンディングのイベントがリーメイロで行われるとしたら、

  城が解放される可能性は高いってこと。」

  

 

 「リーメイロ城で盛大な宴が催される・・・か。

 

 

 「RPGのエンディングとしては使い古されたパターンだけど、

  あえてゲームらしく作りこむとしたら、

  これしかないってほどのエンディングイベントだと思うんだよね。」

 

 

 「あんたを信じてもう少し見守るか。

  

  でも、

  もし間違ってたら・・・

 

 

 (;´Д`)

 

 

 

 

 

 

  next  ストーキング60「エンディング」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

  

 

  

 

 

ストーキング60

 

 

 

 ゴンが1人で城に入ってから1時間が経とうとしてる。

 

 キルアとビスケは城の前で待っている。

 

 俺とルージュはそれを木陰から見守る。

 この位置にいると2人の会話は聞こえる。

 その内容は、ほとんどが爆弾魔達との戦闘に関することだった。

 どうやら爆弾魔達を分散させて、1対1で戦ったようだ。

 罠にハメたということか。。。

 スゴイ。

 あの冷徹で狡猾なゲンスルーを知能戦で倒したんだから。

 

 

 ガチャ

 

 

 

 ゴンが出てきた。

 ん? 小さな銀のケースを持っている。

 

 

 

 「これ、ドゥーンさんにもらったんだ。

 

 「誰だよ、ドゥーンって!

 

 「あ、ごめんごめんw

  ドゥーンさんは城の中にいるゲームマスター。

  あともう1人ゲームマスターがいて、名前はリストさん。

  2人ともジンの仲間だって。

 

 

 「へー。

  ゲームマスターってそれだけしかいないのかよ。

 

 「えーっと、

  入口のイータさん、出口のエレナさん、あとレイザーと、城の中の2人と・・・

  ゲームマスター達の頭文字を取ってグリードアイランドと名付けたって言ってたから・・・

  ん〜〜〜、

  全部で9人かな。

 

 「・・・

  ちげーよ。

  スペルはGREED ISLANDだから11人だろ。

 

 「あ、

  そうかもw

 

 「ちょっとちょっと!

  そんなことより、その箱はなんなのさ!?

  お宝!?

 

 「あ、これは違う。

  入れ物かな。

  また後から説明するよ。

 

 「何よ、もったいつけんじゃないわよさ!

  

 「今晩この城で大宴会が開かれるんだってさ。

  その準備があるから城下町の入口の酒場で待っててくれって。

  そこに向かえの車が来るんだって。

  なんか盛大なパレードをやるって言ってたけど。

 

 「へー。素敵だわねー!

 

 「・・・ベタだな。

  ベタベタなエンディングだ。

 

 「そーなの?

  ゲームやんないからわかんないわさ。

 

 「楽しそうだね!

 

 「どーかな。

  じゃ、ま、とりあえず酒場で待ってようぜ!

 

 

 

 3人はアレコレ会話しながら歩いていった。

 

 

 

 

 「ルージュ、聞いてた?」

 

 「あんたの予想当たったじゃない。

  命拾いしたわね。

 

 「(;´Д`) またまた、そんなこと言う。」

 

 

 「忍び込むのは宴会の最中。

  宴半ばから城を探索して、

  一気に突き止めるわよ。」

 

 

 「うーん、

  そう上手くいくかなぁ。」

  

 「念のトラップには注意しないといけないかもね。

  あと残りのゲームマスターにも。

 

 「・・・残りのゲームマスターねぇ。

  ホントにこの島にいるのかなぁ。」

 

 「

 

 

  ま、いいわ。

  じゃ私達も城下町に行こうか。

  ここにいてゲームマスターに目を付けられたら、せっかくの作戦が台無しだし。

 

 

 「そうだね。」

 

 

 

 城下町を歩く。

 

 

 あれ?

 リーメイロって、

 こんなに人いたっけ?

 

 全員ゲームキャラだと思うけど・・・

 この街のキャラじゃないな。

 あ!

 あのおっさん、確かマサドラの住人だろ?

 

 

 そうか。

 

 「すごいね、他の町からどんどん人が集まってきてるみたいだ。」

 

 「盛大なパレード・・・なるほどね。

  グリードアイランドのすべての町の住人が集まってきてる。

  

  私達の計画におあつらえ向きね。

  フフフ、やりやすいわ。

 

 

 「確かに。

  潜入するなら人ごみに隠れるのが一番だ。」

 

 

 

 

 

 もうすぐ。

  

 パレードが始まる。

 

 

 

 そして、

 

 

 

 

 俺達の、グリードアイランド最後の戦いが始まるんだ。

 

 

 

 

 

  next  ストーキング61「宝物庫」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

ストーキング61

 

 

 暫くしたらバインダーを通してパレード開始の時間が告知された。

 酒場の隣の喫茶店で待っていたら、

 リーメイロにとんでもない数の人が集まってきた。

 ほとんどがゲームキャラだろうけど、

 中にはプレイヤーも結構混ざってる。

 ま、そりゃそうだ。

 エンディングが見たい。

 誰だってそう思うはず。

 

 ルージュは用事があるからと言って独りで出かけた。

 俺はこの喫茶店でゴン達に動きがないか見張っている。

 

 ここのコーヒーは美味い。

 グリードアイランド内にはコーヒーが栽培できる気候の土地はないはずだから、

 やっぱり島外から輸入しているはず。

 船で? もしくはゲーム機で?

 

 うーん・・・考えるのが面倒だ。

 やめよう。

 

 今は、これからの計画を立てないとな。

 

 ゲームマスターに見つからずに、

 宝物庫を見つけられれば大成功。

 でもそううまくはいかないはず。

 

 宝物庫、見つけても入れるのか?

 鍵は?

 もしかしたら念で結界が張られている可能性もある。

 いや、それ以前にゲームマスターに見つかる可能性だってある。

 その時、俺達はどうする?

 逃げなくてはならない。

 戦って勝てる相手じゃないんだから。

 そのための呪文カードはわりと沢山持っている。

 恐らく回避はできる。

 でも逃げてるだけじゃダメなんだよなー。

 

 

 「なにダラダラしてんのよ。

  ちゃんと見張ってんの?

 

 あ、

 

 「見張ってるよー。

  異常なし。ゴン達は酒場から一歩も出てない。」

 

 「そう。

 

 ・・・なんか男が2人、ルージュの脇を固めている。

 

 「あの・・・ちょっといい?(;´ー`)

  この強そうな方たちは? どなた?」

 

 「考えたんだけど、2人じゃ無理だと思ったからね。

  街でスカウトしてきた。

 

 「スカウト・・・

  なんか、お2人とも目がイっちゃってるんですけど(;´Д`)」

 

 「後3時間弱は私のしもべよ。

  ま、3時間たったらまたすぐに念で操るけど。

 

 やっぱり。。。

 こえぇ〜。

 

 

 「もうすぐね。

 ヴェーゼはテーブルに手をつき、窓からゴン達のいる酒場を眺める。

 

 

 考えたんだけどリーメイロ城の中に宝物庫があったとして、

  その場合、恐らく何も結界は張られていないわ。

  通常、入れない城だからね。

  それ以上の警備は必要ないはず。

 

 「うん。

  そうかもしれない。

  多分簡単な鍵がかかってるだけだろうね。」

 

 「簡単な鍵なら私に任せな。

  ある程度のピッキング技術は身に付けてる。

 

 「へー、

  心強い。

  あと問題はゲームマスターだね。」

 

 「そうね。

  そのための人手よ。彼らにはやってもらうことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その夜・・・・

 

 

 

 

 

 パレードは盛大に行われた。

 

 街中に人があふれかえり、様々な露店が開かれ、

 巨大な花火が数十発も打ち上げられた。

 城は万人に開かれ、

 パーティーが賑やかに開始された。

 みんな楽しく飲み、食べ、歌い、踊っている。

 

 

 「あんた、何その変な仮面とマント。」

 

 「う、うるさいな。

  祭の仮装だと思えば別に気になんないでしょ。

  グリードアイランド中のプレイヤー達が集まってきてるわけだからさ、

  絶対に合いたくない奴等が来てるかもしれないじゃん。

  某旅団とか。

  

  そっちこそ、髪型変えてるし。

  く、黒のブラだけなんて、ろろ露出しすぎてない?」

 

 「見せるタイプのやつだからいいのよ。

  こっちの方が動きやすいし。

  なんか文句あるの?

 

 「な、ないっす ъ(´ー`)」

 

 

 「で、どの人がゲームマスターか、わかった?」

 

 「最初から城にいた執事風の猫っ毛の青年、

  それと踊り狂ってたモジャモジャ頭の男、あとはわかんなかった。

 

 「俺もその2人しかわからなかった。

  というか、もしかしたら2人だけなのかもしれない。

  ゴンの話でも城の中にいたのは2人のゲームマスターだったって話しだし。」

 

 「とにかく、そろそろパーティーが終わってもおかしくない時間帯。

  急がないと。

 

 「でもまいったね。

  すべての部屋はチェックしたはず。

  なのに宝物庫はなかった。」

 

 「間取りから考えても、

  隠し部屋があるとも考えられない。

 

 「そうだね。

  あれだけのオリジナルアイテムを保管できるスペースはない。

  ・・・。

  

  間違いだったのかな? この城に宝物庫はない?」

 

 

 「・・・まだその結論を出すのは早い。

  ゲームマスターが常時2人駐留している侵入不可能な城・・・

  やはり一番可能性が高いのはこの城であることに変わりはない。

 

 

 「、

  ちょっと待ってよ。

 

  そうか。

 

 

  地下だ。

  

  地下室なら、十分に保管スペースを確保できる。」

 

 

 「なるほどね。

  入口を隠してあるなら、あのゲームマスター2人もパーティーの盛上げに専念できるわけね。

 

  この1階のフロアの間取りで不自然なところは・・・

  

 

 

 

  ここね。

  

  他と比べて、部屋と部屋の間の壁が厚い!

 

 

 流石だ。

 城を回りながらルージュが画いていた間取図が役に立った。

 

 「その部屋って、

  あのゴミ部屋?(;´ー`)」

 

 「ゲームマスターが日々生活してる部屋。

  ますます怪しいわ。

 

 早足に、でも自然に、

 俺達はゲームマスターの部屋に忍び込んだ。

 

 

 汚ねー。

 ここまで汚いと人格を疑うよ。

 

 ルージュが指摘した壁面には、天井までの背丈の本棚が設置されていた。

 乱雑に本が並べられている。

 

 ゲームの攻略本、漫画、雑誌、怪しいビデオとか、

 基本的に趣味丸出しだ。

 

 その中に、

 専門書や辞書が綺麗に並べられている場所が一列だけあった。

 

 あやしい。

 めっちゃ、あやしい。。。

 

 ルージュが本を引き出すと、奥にスイッチが隠されていた。

 スイッチを押すと、

 ガコン、と歯車が合わさるような音がして、

 横の本棚がドアのように開いた。

 

 「う〜ん、古典的。

 

 「でも、やったね!

  もうパーティーも終わる頃だし、さっさと頂いて、さっさと逃げよう!」

 

 「じゃ、あんた達2人でここを見張ってな。

  誰かが来たら、そいつは敵だから、迅速に、静かに排除しなさい。

  わかったね。

 

 男2人はうなづく。

 

 この2人、ルージュに操られているけど、

 多分、相当な使い手だ。

 ゲームマスターに見つかっても時間稼ぎにはなるはず。

 

 

 「よし、行こう!」

  

 

 本棚の奥には下に続く階段があった。

 

 階段を駆け降りると、一直線に廊下が伸びる。

 電灯が等間隔に設置されていて、明るさは確保されている。

 

 走る!

 

 廊下の突き当りには、装飾のない、でも頑丈そうな鋼鉄製の扉があった。

 ここだ!

 この扉の向こうが宝物庫!

 

 

 「ヴェーゼ! どうする?  あ、ルージュか。」

 

 「どっちでもいいわ。

  

  この程度の鍵なら開ける事はできる。

  待ってな。

 

 

 「その必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 固まった。

  

 

 

 こ、

 この声は!!

 ヴェーゼも俺も、振返ることができない。

 

 ヴェーゼは苦笑いを浮かべ、

 その額には、汗がにじみ出ている。

 

 

 「・・・ち、

 

  やっとここまで来たのに。

  もう少しだったのに。

 

 

 緊張で硬くなった体を無理矢理ねじり振返る。

 

 

 

 

 

 

 最悪だ。

 

 

 なんで、

 

 

 なんで、こいつが。

  

 

 

 

 

 

 「レ、レイザー・・・。」

 

 

 

 

 

 「ゲームオーバーだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

第10章 「宝物庫」

 

 

 

 

 

 

 絶体絶命!!

 もはやゲームマスターとの衝突は避けられない!?

 ルルーペは死なずにグリードアイランドを脱出できるのか!?

 第11章「14人の悪魔」 突入!!

  next  ストーキング62「支配者オンリースペル」の巻 絶対見ろよな!ъ( ゚ー^)

 

 

  

  

 

 

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